分配器と分波器と分岐器の解説

分配器と分波器と分岐器
アンテナからの信号を受信機器に接続するため分ける機器に「分配器」と「分波器」と「分岐器」があるが、名前が似ているし形状も似ている場合があるためその違いや使い方を混同されている方や良く理解されてない方のためにその違い等について解説したいと思う。

まずテレビの電波信号には周波数低い順番からUHF、BS、CSなどがありそれらの信号は通常屋内配線では混合されて伝送されている。
この混合された信号を分配器と分波器にそれぞれ入力した場合、分配器では入力した混合信号が分配損失により弱くなるものの入力信号と同じ信号が2つの出力端子から出力される。
分波器の場合UHF出力端子にはBSCS信号が阻止されUHF信号が強く出力され、BSCS出力端子には逆にUHF信号が阻止されてBSCS信号が強く出力される。

分配器と分波器の違い

【分配器】

例えば壁面にテレビ端子が1個ありそこにテレビを2台接続したい場合に「分配器」を使用する。
分配器とは「分けて配る機器」という意味で1つの信号を同じように複数の信号に分ける機器の事である。2分配器、3分配器・・・など分ける数によって種類がある。

まず上の図を見て頂きたい。ここでは2分配器を例にとっているが入力端子に信号を入力すると2つの出力端子からは信号の強さ(レベル)は分配損失により弱くなるが同じ信号がそれぞれ出力される。
2分配器の分配損失は4dB〜7dB程度であるが分配数が多くなるほど分配損失は大きくなる。また周波数が高い電波ほど分配損失も大きくなる傾向がある。

1端子電流通過と全端子電流通過

分配器には1端子電流通過型と全端子電流通過型の分配器があり、衛星アンテナなどにアンテナ電源をテレビ(レコーダー)から供給する場合1端子電流通過型だと電流通過端子からのみ電源供給可能でそれ以外の端子からは電源供給できない。従って電源通過端子に接続したテレビの電源を切ると他の部屋で衛星放送が受信できなくなるというトラブルが起こる事がある。そのトラブルを防ぐにはどの端子からでも電源供給できる全端子電流通過型の分配器を使用するかテレビから電源供給するのではなく電源部を別途設置するかの2通りの方法がある。(ブースターを設置して付属の電源部でもOK)

分配器の接続端子はネジ式のF型接栓(F型ジャック)タイプが主流となっておりこれは外来ノイズの混入を防ぐためでデジタル放送では必ずF型のものを使用して欲しい。
現状では2150MHz対応や2681MHz対応の分配器でも良いが最近では3224MHz4K8K衛星放送対応の物なども出て来ておりできるだけ周波数特性に優れ分配損失の少ない分配器をお勧めする。

分配器の出力端子に空端子がある場合はそこでインピーダンスが乱れて反射波が発生するためダミー抵抗(終端抵抗器)を付けるように推奨されている。
実際に検証してみた結果ではダミー抵抗を付けると信号レベルは変化するも設計の良い分配器ではその変化は僅かで増える場合もあれば減る場合もあった。
設計がそれなりの分配器ほど影響が大きくなる傾向があるので必ずしも受信レベルが上がるとは言えないができれば付けた方が良さそうだ。

当店取扱い分配器 当店取扱い電源部 当店取扱いダミー抵抗
    

【分波器】

壁面端子の信号はいろいろなテレビ信号が混合されているがテレビのアンテナ入力端子をみるとUHF(地デジ)とBS/CS(衛星)の2つアンテナ端子があるためそれぞれに接続するため「分波器」を使用する。分波器とは「電波を分ける機器」という意味で、ある周波数より高い信号と低い信号に分ける機器の事である。
分波器の代わりに分配器を使用する事は可能ではあるが信号レベルがギリギリの場合は分波器に比べて損失が大きいため受信不能となる事がある。

分波器の説明

上の図では主に使用される事の多いVU/BSCS分波器の例にとっているが分波器に入力された信号をUHFとBSの間の周波数で分けてVHFとUHFがVU側に出力されBSとCSがBSCS側に出力されるようになっている。通常分波器の損失は1dB〜4dB程度である。 また、分波器の構造は混合器と基本的に同じなので逆に接続すれば混合器としても基本的に使用できる。

入出力共にネジ式のF型接栓(F型コネクター)タイプもあるが出力ケーブル付きの分波器が一般的で出力側の端子の形状はF型コネクターもしくはプッシュプラグになっている。 入力側はほぼF型ジャックになっており一部で入力側もケーブル付きのものもある。
あとダブル分波器といってVU出力とBSCS出力がそれぞれ2個づつありレコーダーとテレビに一度に配線できる分波器も発売されている。
同軸直結式のものはもうほぼないがノイズの混入や電波漏洩という受信トラブルの原因となるため使用は避けて欲しい。
最近では3224MHz4K8K衛星放送に対応した分波器も発売されて来ている。

テレビとレコーダーの接続方法の解説    当店取扱い分波器

【分岐器】

分岐器は信号を「枝分かれさせる機器」で分配器では10の信号を2分配すると5対5になるが分岐器では出力端子と分岐端子に9対1のように分ける。
実際には80dBの信号を2分配すると75dBぐらいで出力され1分岐器では出力端子に78dB、分岐端子に68dBぐらいで出力される。

分配器と分岐器の違い

分岐器の種類には分岐する数で1分岐器、2分岐器、4分岐器などがあり家庭用には出力と分岐出力の差が10dBタイプが一般的だ。
最近では3224MHz4K8K衛星放送に対応した分岐器も発売されて来ている。

マンション等の受信システムで使用される直列ユニットと呼ばれるテレビ壁面端子の内部には分岐器が内蔵されている。
最近分岐器は光テレビの配線で使用される事が増えている。


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